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航空力学講座~エネルギー 編~

飛行機の持つ運動エネルギーと位置エネルギーについて解説します。
水平飛行から推力一定のまま何ft上昇すると何kt減速するのか説明します。いわゆる運動エネルギーを位置エネルギーに変換ってやつです。

目次

比エネルギー
比エネルギーその2
上昇すると何kt?

比エネルギー

ES = H+ V2 2g
ES:比エネルギー H:高度 V:TAS g:重力加速度

比エネルギー(specific energy)とは単位重量あたりのエネルギーのことです。

日本語で比エネルギーを調べると「単位質量あたりのエネルギー」が出てきますが、ここではを「単位重量あたりのエネルギー」を比エネルギーと呼称します。 こちらのWikiを参照してください。

飛行機の運動を考慮する上で考えるエネルギーは位置エネルギーと運動エネルギーです。エネルギーの総量をE、質量をm、重力加速度をg、高度をH、速度(TAS)をVとすると

E=mgH+ 12mV2

重量をWとすると、重量は物体が重力によって引っ張られる力(F=ma)なので

W=mg

よってエネルギーの式を重量で表すと

E=WH+ WV2 2g

比エネルギーは単位重量あたりのエネルギーなので

ES = EW = H+ V2 2g

比エネルギー その2

ES = H+ V2 22.6
ES:比エネルギー[ft] H:高度[ft] V:TAS[kt]

先ほどの式を使いやすくしたのが上の式です。高度はft、速度(TAS)はktにしています。

単位をft secで考えたとき、高度はft、TASはft/sec、重力加速度はft/sec2になります。

速度をkt、g=9.8 m/sec2 = 32.2 ft/sec2とすると

ES = H+ (V×6076/3600)2 2×32.2 = H+V222.6

上昇後の速度は何kt?

※水平飛行から推力一定で上昇した場合
V2= V12-22.6ΔH
V1:上昇前TAS[kt] V2:上昇後TAS[kt] ΔH:上昇高度[ft]

この式の前提はエネルギーが保存されることです。つまり、推力は水平飛行時に釣り合っており、AOAの変化による抗力は無視しています。

運動エネルギーを位置エネルギーに変換するとどうなるのか…というのを具体的に計算してみましょう。

<図1>

エネルギー保存の法則から、上昇前後のESは等しいので

H+ V12 2g = H+ΔH+ V22 2g

よって上昇後の速度V2

V2= V12-2gΔH

速度TASをkt、高度をftとすると

V2= V12-22.6ΔH