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航空力学講座~対気速度 編~

対気速度(Airspeed)について解説します。
IAS、CAS、EAS、TASについてと、それぞれの換算方法について説明します。
圧縮性を考慮するので亜音速や遷音速も対応します。

目次

IAS、CAS、EAS、TASの関係
IAS⇔CASの換算
CAS⇔EASの換算
EAS⇔TASの換算
CAS(IAS)⇔TASの換算

IAS、CAS、EAS、TASの関係

IAS(Indicated AirSpeed):指示対気速度
計器誤差と取付位置誤差を補正
CAS(Calibrated AirSpeed):較正対気速度
圧縮性を補正
EAS(Equivalent AirSpeed):等価対気速度
空気密度を補正
TAS(True AirSpeed):真対気速度

各対気速度の関係は↑のとおり。細部定義はWiki等を参照してください。

IAS⇔CASの換算

機種による。マニュアルを参照せよ。

IASは、計器誤差と取付位置誤差を補正することでCASへの換算できます。 計器誤差と取付位置誤差は機種に依存するため、換算するには各機種毎のマニュアルを参照する必要があります。

図1はCessna172のIAS-CAS換算表です。

なお、Air Data Computerを搭載した機種では取付位置誤差を補正したCASや高度が自動的に表示してくれます。

<図1>
<図2>

CAS⇔EASの換算

EAS = CAS ( 8 8+ (1-δ) M2 ) CAS = EAS ( 1+ (1-δ) M2 8 )
CAS:較正対気速度[kt] EAS:等価対気速度[kt] δ:圧力比 M:マック数

CASは、ピトー管から全圧と静圧の差を動圧として計測して表示します。 ただし、高速になると空気の圧縮性が影響し、全圧が高くなります。 つまりCASは正しい動圧よりも圧縮性の分だけ大きな値を示します。 そのため、この圧縮性の影響を補正し、正しい動圧にしたのがEASです。

この式は近似式です。M0.85以下では誤差は1kt以下であり、M1.0の場合でも誤差は2~5kt(1%以下)以下です。 したがって、音速以下での使用には問題ありません。

この数式はWikiを参考にしています。

M0.3(TAS:約180kt)以下では圧縮性の影響は無視できるため、Cessna172などの低速機ではCAS=EASとみなせます。

CASとEASは実際にどの程度の差があるのかM(マックナンバー)毎に10000ftと30000ftの標準大気で計算したのが↓の表です。 高速、高高度になる程、差が顕著になるのが分かります。

M0.20.30.40.50.60.70.8
EAS110165219274329384439
CAS110165221277334391450
<標準大気 10000ft>
M0.20.30.40.50.60.70.8
EAS72108144180216252288
CAS72109146184223263305
<標準大気 30000ft>

EAS⇔TASの換算

EAS = σ TAS TAS = 1 σ EAS
EAS:等価対気速度[kt] σ:密度比 TAS:真対気速度[kt]

動圧をq、EASをVe、 TASをVt、 標準大気海面上の空気密度をρ0 機体周りの空気密度をρaとすると。

q= 12 ρ0 Ve 2 = 12 ρa Vt 2

よって

Ve 2 = ρa ρ0 Vt 2

密度比 σ= ρa ρ0 なので

Ve = σ Vt

CAS(IAS)⇔TASの換算

M0.3(TAS180kt)以下の場合

CAS = σ TAS
CAS:較正対気速度[kt] σ:密度比 TAS:真対気速度[kt]

M0.3(TAS180kt)以上の場合

「CAS⇔EAS⇔TAS」の順に変換していく